食分野

ホテルパティシエになるには?仕事内容や年収、必要な資格を解説


パティシエの就職先として人気のホテル。ホテルには、レストランのデザートやビュッフェのスイーツ、ウエディングケーキなど、パティシエにとって活躍の場が広がっています。パティシエを目指している学生さんの中には、将来はホテルで働きたい!と考えている人もいるのではないでしょうか。ホテルパティシエになるにはどうすれば良いのか、パティスリーのパティシエとはどう違うのかなど、気になりますよね。この記事では、ホテルのパティシエの仕事内容ややりがい、必要な資格・スキルについて詳しく解説します。

ホテルパティシエとは?仕事内容を解説

ホテルの料理を提供する調理部門は、シェフやベーカリー、ペストリーなど様々な職種に分かれており、それぞれ担当する分野の調理のみを行っています。その中でホテルパティシエが働くのは、デザートを専門とするペストリー部門です。

ペストリー部門が関わる仕事

ペストリー部門に所属するパティシエは、レストラン・カフェ、宴会・ビュッフェ、スイーツショップ、結婚披露宴・婚礼パーティーなどに携わります。それぞれ具体的にどんな仕事をするのか、見ていきましょう。

レストラン・カフェ

ホテルのレストラン・カフェで働くパティシエは、コース料理のデザート等を提供します。パティシエが常にレストランやカフェにいてデザート作りを担当しているところもありますが、ホテルによっては調理人がデザートも作っているところもあります。

宴会・ビュッフェ

ホテルの宴会場・ビュッフェでは、会食でのコース料理や立食パーティーのデザートを提供します。立食パーティーでは、お客様の前に立ってケーキを切り分けるサービスを行うこともあります。大人数向けの料理を手際よく作る必要があるため、宴会サービス担当者との連携が大切です。

スイーツショップ

ホテルブランドのケーキやパンを扱うテイクアウトのスイーツショップもペストリー部門で働くパティシエの仕事です。大きいホテルではお惣菜を販売しているショップもあります。提供するケーキはもちろん、ホテルオリジナルのケーキです。

結婚披露宴・婚礼パーティー

ホテルのペストリー部門では、宴会場で行う結婚披露宴や婚礼パーティーのコース料理のデザートやウエディングケーキの提供も行います。ホテルのVIP顧客が宿泊する際は宿泊係と連携しながら、プレゼントやバースデーケーキのサービスをすることもあります。

ペストリー部門の担当作業

ホテルで働くパティシエはやることが多く、いろいろなものに対応しなければなりません。そのため大型ホテルで人数がたくさんいるところでは、ペストリー部門の中でも分業して作業を進めるところも多く、生地担当、オーブン担当、仕上げ担当、宴会担当、アイスクリーム担当などに分かれていることもあります。

生地担当

生地担当のパティシエは、ケーキやデザートで使う生地を用意したり、クッキーやマドレーヌ等の焼き菓子を作ったりします。膨大な量の洋菓子を作るため、スピードやチームワークが重要です。

オーブン担当

オーブン担当は仕込みが終わった生地をオーブンで焼き上げます。ケーキや焼き菓子等、種類ごとに焼き時間や温度に気を配る必要があります。

仕上げ担当

仕上げ担当は、生地部門が作った生地でムース等を仕込み、お客様に提供するための仕上げを行います。お客様に喜んでもらえる一皿となるよう、色彩感覚等の美的センスが欠かせません。

宴会担当

宴会担当のパティシエは、宴会や結婚披露宴、立食パーティーでのデザートの仕込みや仕上げ、盛り付け等を行います。お客様の前で洋菓子の仕上げ作業をすることもあります。

アイスクリーム担当

アイスクリーム担当は、宴会や結婚披露宴、立食パーティー、レストランでお口直しのシャーベットやデザートに添えるアイスクリームを作ります。お客様に最適な口当たりを楽しんでもらえるよう、時間を考えながらちょうど良いタイミングで提供する必要があります。

ホテルのパティシエとパティスリーのパティシエはどう違うの?

パティシエと聞くとパティスリー(洋菓子屋さん)で働くパティシエを思い浮かべる人も多いかもしれません。どちらもお菓子をつくるということは共通していますが、仕事や環境にどのような違いがあるのか、給与、仕事の種類、仕事の流れ、環境の点から見ていきましょう。

給与

ホテルとパティスリーの給与は、勤務先の規模や地域、本人の実力によって異なりますが、一般的には次のようになることが多いようです。
大手ホテル(結婚式場あり)>大手洋菓子店(チェーン展開)>その他ホテル>個人店
上記はあくまで傾向なので、ホテルやチェーン店よりも待遇のよい個人店ももちろん存在します。特に若いうちはホテルとパティスリーで大きな差はないことがほとんどですが、責任者レベルになるとホテルの方が多少良くなることが多いです。勤務するホテルにもよりますが、ホテル内レストランでスーシェフやシェフになれば、パティシエ全体の平均年収より数20万~100万円ほど年収アップさせることも可能です。

仕事の種類

仕事の種類の違いは次の通りです。

仕事の種類
ホテル 冷菓子や生菓子の製造の割合が高い
パティスリー 焼き菓子や生菓子などをバランス良く作る

ホテルではできたてのデザートを提供するので、冷たいものと温かいものを同じお皿に盛り付けるなど、洋菓子店ではできない表現も楽しめます。パティスリーでは一般用の販売のための製菓が基本なので、様々な洋菓子をバランスよく作ります。

仕事の流れ

仕事の流れの違いは次の通りです。

仕事の流れ
ホテル 部門で分かれて役割分担することが多い
パティスリー 全ての作業を通してお菓子作りの流れを学ぶ

ホテルでは分業制が一般的なので、新人はローテーションして一つ一つ仕事を覚えていきます。パティスリーは小規模なところが多いので、早い段階から様々な仕事を経験させてもらえるでしょう。

環境

仕事環境の違いを次の通りです。

仕事の環境
ホテル お客様と直接接する機会は少なく、厨房内で連携を大切にすることが必要になる
パティスリー お客様と直接接する機会が多く、反応や要望を聞くことができる

ホテルではたくさんの人と分業して仕事をするので、厨房内でのチームワークが重要になってきます。一方で、パティスリーはお客様との距離が近いので、日々反応をダイレクトに感じながら働くことができます。直接お客様から感想や要望を聞けることで、今後の仕事に生かせるヒントを得られることもあるでしょう。
ホテルのパティシエとパティスリーのパティシエは、それぞれにメリットやデメリットがあるため、自分の目指すキャリアや好みに合わせて選ぶことが大切です。

ホテルパティシエのやりがいと厳しさとは

やりがい

ホテルパティシエは、レストランやカフェ、宴会、スイーツショップ、ウエディングなどでお菓子作りに携わります。提供する数が多いので、作業の効率化を図るために分業して進めることが一般的です。そのため大量調理の方法が学べたり、スピーディかつ効率的に決められた数を提供するスキルを身につけたりすることができるでしょう。
さらに洋食や和食の料理人、ソムリエやコンシェルジュなどパティシエとは異なる職種の人と一緒に働けるのは、ホテルのパティシエならではのメリットです。厨房内でチームワークを図って調理をしたり、他部門と協力して宴会を作り上げたりと、様々な人と連携して業務をうまく進めるコミュニケーションスキルが身につく環境になっています。
またブライダルの披露宴会場では、予定に沿って料理やデザートを提供するため、進行状況を把握する広い視野や臨機応変な対応力が身に付きます。

厳しいと感じる点

レストランやビュッフェなど大量のお菓子が必要となるホテルでは、スピーディかつ効率的に提供するため、部分的に既製品を使用するケースも少なくありません。お皿への盛り付けやビッフェ用のケーキカットなどの準備作業がメインで、ときにはヘルプの調理補助に入ることもあるため「パティシエの仕事ができない」と悩んでしまう若手も少なくありません。効率性を重視した動きが求められることに、厳しさを感じる人もいるでしょう。また規模にもよりますが、1日あたり5〜8件の披露宴を行うホテルだと長時間の仕込みが必要になるため、同じ作業を何度も繰り返すといった単純作業が続く厳しさもあります。

ホテルパティシエの平均年収は?

厚生労働省が運営する職業情報提供サイト「job tag」によれば、パティシエの平均年収は約344万円、月額賃金は20.8万円でした。
求人情報サイト「インディード」>に掲載されている正社員のホテルパティシエの求人情報は、約18万円~30万円と給与が幅広く、ホテルによっても差が大きいことが分かります。
パティシエが年収を上げるためには、次のポイントが大切です。
・常に技術を向上させる意識を持つ
・アンテナを張り、世の中のトレンドを敏感に察知する
・さまざまな技術や考え方を身につけるために、転職する
パティシエはお菓子作りの技術と知識を問われる実力主義の世界です。例えばスキルを磨いてコンクールなどで賞を取れば、パティシエとしての高い評価を得られますし、給与や手当も高くなるでしょう。ホテルで修業を積んで開業すれば大幅な年収アップも可能です。厳しい面もありますが、努力した分結果に結びつきやすい夢のある業界です。
ただ、年収は生活していくうえで大切な条件ですが、それだけが全てではありません。どんなパティシエになりたいのか、パティシエになって何がしたいのか、自分なりの目標を持って就職先を選びましょう。

ホテルパティシエの将来性

ホテルで働くパティシエには将来性がある?と気になっている学生さんもいるでしょう。
洋菓子店では売れるお菓子を作り、利益を出して経営を良くすることが求められますが、ホテルのペストリー部門では売れるお菓子だけでなく、様々な商品を提案してホテルのブランドイメージを作り上げることも求められます。なぜならホテルは他の部門でも利益を出せるので、売上だけに力を入れる必要がないからです。そのためホテルで働くパティシエは、新しい技術を磨いたりお客様がパッと目を引くもの等を取り入れたりしやすい環境にあります。またコンテストに出す作品作りを通して、新たなアイデアやヒントを得られる可能性も高いでしょう。そのためホテルでの勤務は、パティシエがいつか自分のお店を出すための修業の場としてもぴったりです。もちろん同じホテルでじっくりと経験を積んで、そのホテルやレストランのシェフ・パティシエを目指すのも良いでしょう。
近年パティシエの働き方は多様化しており、ホテルやレストランだけでなく、ネット通販を使って独創性のあるお菓子やオーガニック食材にこだわったスイーツを販売するパティシエもます。またコンビニエンスストアで様々なスイーツを手軽に買えるようになったことなど社会の変化により、お客様に求められるお菓子も刻一刻と変化しています。そのため、今後はより専門性が高く独創性のあるパティシエの需要が高まっていくと考えられます。売れるお菓子だけでなくお客様の目をひく魅力的なお菓子を作れるホテルパティシエの経験は、パティシエとしてのキャリアを築いていくのに適していると言えるでしょう。

ホテルパティシエになるにはどうすればいいの?

ホテルパティシエになるには、調理師専門学校や製菓専門学校に通い、卒業してからホテルに就職するコースが一般的です。高校卒業後に大学などに通ったり、昼間に別の仕事をしたりしながら、夜間に製菓系の専門学校で学んでパティシエを目指す人もいます。

洋菓子店で直接アルバイトとして雇ってもらい修業するパターンもありますが、基本的な知識や技術がないといきなり現場で働くのは大変かもしれません。また、中にはヨーロッパなど洋菓子の本場へ渡って修行をする人も。ただ海外での修業は言葉や環境の壁も多いので、相当な覚悟と滞在費用が必要です。

ホテルパティシエに必要なスキルとは?

パティシエになるために必要な資格はありません。しかし「製菓衛生師」や「菓子製造技能士」など仕事に関連する国家資格はあるので、取得しておくと自分自身の実力の証明になるでしょう。

製菓技術

ホテルパティシエは、さまざまな種類の洋菓子を作ることができます。そのため、お菓子作りの基本的な技術に加えて、以下の技術を身につけることが重要です。
・デコレーション技術:ケーキやタルトなどのデコレーションは、ホテルパティシエの見せ場の一つです。花や葉、動物などのモチーフを細かく描いたり、立体的な装飾を施したりする技術です。
・チョコレート細工技術:チョコレートは、デコレーションやアシェットデセールなど、さまざまな用途に使用されます。チョコレートの温度や作業工程をコントロールする技術です。
・冷凍ケーキ技術:ホテルでは、ウェディングケーキやフルーツタルトなどの冷凍ケーキを扱う機会も多いです。冷凍ケーキの製造・保管・解凍などの技術が必要です。
それぞれの技術を身につけるためには、専門学校や製菓スクールで学ぶのが効果的です。また、実践経験を積むことも重要です。

食の安全管理

食の安全管理とは、食品の安全性を確保するための取り組みです。食中毒などの事故を未然に防ぐために、食の安全に関する知識と技術を身につけることが重要です。食の安全管理の基本は、以下の3つです。
・清潔の確保:調理器具や作業台、食材などを清潔に保つことで、食中毒の原因となる菌の繁殖を防ぎます。
・温度管理:食材や調理済み食品を適切な温度で管理することで、食中毒の原因となる菌の増殖を防ぎます。
・温度管理:食材や調理済み食品を適切な温度で管理することで、食中毒の原因となる菌の増殖を防ぎます。
これらの基本を徹底することで、食の安全を確保することができます。しかしこれらの知識は独学ではなかなか身につくものではないので、専門学校など体系的に学べる場所で学習することをおすすめします。

ホテルパティシエになるには専門学校がおすすめ

以前は、パティシエになるには中学や高校を卒業してすぐ店などに就職し修業を積むというスタイルが一般的でした。しかし最近では調理系、製菓系専門学校などで基本的な知識や技術を学んでから就職するケースが多くなっています。専門学校で基礎技術を身につけることで、即戦力として働くことができるでしょう。またパティシエとして働くために必要な資格や検定にも対応しており、資格を取得するためのカリキュラムやサポートが用意されています。
さらに業界の情報が得られたり、自分の希望に沿った職場を紹介してもらえたりと就職に向けてのサポートがあるのも魅力的です。専門学校には、洋菓子店やホテルなどの業界とのネットワークがあるため、就職先の紹介や面接の対策などもしてもらえます。
また専門学校ではインターンシップや現場見学などに参加できる機会もあります。実際にパティシエの仕事を経験したり間近で見たりすることで、職場の雰囲気や具体的な仕事内容を知れる貴重な経験になるでしょう。パティシエを目指している学生さんは、調理や製菓を学べる専門学校に通うことをおすすめします。
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https://www.sendai-iken.ac.jp/culinary/course/patissier_chocolatier/

まとめ

ホテルパティシエの仕事について紹介しました。将来一流のパティシエとして活躍したいと考えている人にとって、専門学校選びは重要です。自分の目で見て進学する学校を選べるように、説明会やオープンキャンパスには出来る限り参加しましょう。実際に学校に足を運ぶことで、自分が学ぶ環境や雰囲気を感じ取ることができるだけでなく、施設設備を確認できたり洋菓子作りに必要な道具や器具などに触れることができたりするメリットもあります。実際に行われている授業や実習をダイジェストで体験することもできます。オープンキャンパスに参加することで自分は本当にパティシエになりたいのか、パティシエになるための勉強をがんばれそうか、適性や興味を確かめることができるでしょう。
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https://www.sendai-iken.ac.jp/event/culinary_index.html

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