農業

農業系専門学校と大学の違いとそれぞれのメリット・デメリット


農業の世界は多様で、農作物生産者や農業ITコンサルタント、水耕栽培生産者、スマート農業従事者といった職業が存在します。さらに、よくイメージする農業の生産者のほかにも、観光農園スタッフ、農場レストラン経営者、農業関連企業スタッフ、農体験プロデューサーなど、様々 な職業があります。これらの魅力的な農業のキャリアへ進むには、専門学校や大学の場で必要な知識と技術を身につける必要があります。
しかし、専門学校と大学のどちらに進学したほうがいいのか、学校の種類が多くて選び方に迷うことはありませんか?この記事ではそれぞれの学校にどのような特徴やメリット・デメリットがあるのか、また、大学の農学部と混同されがちな「農業大学校」が何を指しているのかも解説します。

4年制の農業系専門学校と大学の違い

まずは、農業系の専門学校と大学の違いについて解説します。進路選びの参考に、専門学校と大学のどちらが自分に合っているのかを考えてみましょう。

学位・称号の種類について

専門学校や大学などの高等教育機関で一定の教育課程を修了すると「学位」や「称号」が授与されます。専門学校では「専門士」や「高度専門士」の称号が授与され、専門的な知識や技術を身につけたことを証明できます。これらの称号を取得することで、大学への編入や、大学院への入学も可能になります。
一方、大学では「学士」や「修士」といった学位が取得できます。大学の場合は農業だけでなく他の学問分野も学ぶことができるため、専門的な知識のほかに、より幅広い知識を身につけていることを証明できます。

学問領域について

農業系の専門学校と大学では、学問領域の幅に関しても違いがあります。農業系の専門学校は農業に特化したカリキュラムに沿って実践的な技術や農業経営に関する専門知識を中心に学びます。一方、大学では農業に特化した内容だけでなく、農学の観点から社会問題の解決をする方法や、農業に関係する知識など様々な学問領域を学ぶことが可能です。大学のカリキュラムには多様なものがあり、自分の興味や将来の目標に合わせて学びを深めることができます。
大学での学びは実践するよりも農業の知識を深めたり研究を進めたりすることに重点が置かれることが多いです。より農業に特化した深い知識を得たい場合や、実践をとおして農業に関する技術を身につけたい場合は専門学校がおすすめです。

入学要件について

農業系の専門学校と大学では、入学要件も異なります。入学資格としての高校卒業以上の学歴はどちらも必要ですが、大学では基本的に入学試験(教科科目など)よって入学合否が決まります。大学は高度な学問に取り組むため、高校時の学力の成績や学習能力が求められる傾向があります。一方、専門学校は指定する試験に合格することで入学可能です。専門学校は学力だけでなく実践的な技術や知識を身につけることを重視しているため、科目試験がない学校や、面接と書類選考で成績以外の面を見てもらうことで入学が可能な制度などがあります。

農業に関しての即戦力や特化知識が欲しいなら専門学校

専門学校では、実践的な技術や即戦力としてのスキルを身につけることができるため、就職に強みがあります。農業に特化したカリキュラムや専門知識を習得することができるため、農業に携わることを目指す方にはぴったりです。また、専門学校では、教員が実務経験者であることが多く、実践的な指導を受けることができます。就職活動においては、身につけた専門知識や技術力があれば、希望する就職先で即戦力になれることを伝えやすくなるため、実務的なスキルを身につけることが重要です。

農業大学校と4年制の専門学校の違い

農業系の専門学校は「農業大学校」と呼ばれることがありますが、厳密には、大学とも専門学校とも違う機関です。農業大学校とは「農家になりたい」人が農業について学びに行くための学校で、一部の大学校では専門過程を設置していることで「専門学校」として認可されていることがあります。
地元へ貢献したい、地元に根づいた職につきたいと感じている人が多い場です。
農業大学校は基本的に寮生活(共同生活)が基本となっています。

ここで各学校の違いをまとめると・・・
・専門学校:実習を含めて、より実践的なことを学ぶことが出来る
・大学:農業についての知識や知見を深めるために、〇〇学などを学ぶことが多い
・大学校:農家になることを目的とし、必要な知識を学ぶ

農業系の専門学校ではより実践的なカリキュラムが組まれており、具体的には農業基礎・調理基礎としてのファーム演習、ファームマネジメント、アグリテックマネジメントや食農ビジネス、6次産業などを学べます。専門学校によって年数は様々ですが、ここではより深い知識を身につけられる4年制の農業系専門学校について例を挙げて解説します。

授業内容の一例

農業の専門学校では、まず農業基礎から学ぶことになります。農業基礎とは、農業における基本的な知識や技術を習得することを指します。具体的には、土壌の特性や肥料の使い方、農産物の生育に関する基礎知識などが挙げられます。基礎演習などでは、実際の農場や施設での作業がメインの科目です。種まきや植え付け、育成管理、収穫など、農業の現場で必要な実践的な技術を身につけ、基本的な作業手順や実践的なスキルを習得します。
農場経営に関する知識や技術を学ぶファームマネジメントという科目もあります。農業経営の基本的な理念や計画、経営戦略や農業経営における財務管理やマーケティングの考え方について習得していきます。これにより、将来的に自らの農場や農業事業を運営する能力を身につけることができるのです。

4年制での授業内容

4年制の農業系専門学校では、農業の基礎を身につけながら、年次を進めるごとにより深い知識やビジネス面での考え方などを習得していきます。授業内容の一例は下記のようなものが挙げられます。

農業実習 農業スキルを基礎から習得し、多様な品種の栽培方法について学びます。生産者として必要な技術や知識を習得します。
IT・テクノロジー演習 IT技術やテクノロジーを利用した作物の生産・管理方法や流通・販売に関する技術と知識を学びます。
調理技術・加工技術 お客様のニーズを理解し、調理・加工技術を習得します。調理・加工技術を知ることで、作物の生産スキルの向上に役立つ視点を身につけます。
健康・栄養講義 食材の栄養価や健康効果を学びます。お客様に対して生産した作物のよさや影響を伝えることができる生産者を目指します。
販売・マーケティング 作物の販売スキルやSNSやウェブを活用した販売戦略について学びます。次世代の農業業界で不可欠な販売力とマーケティングに関する知識を身につけます。
6次産業化(加工ブランディング) 生産、加工、流通、販売といった一連のプロセスを学び、自身で育てた野菜や果物をお客様に提供できるチカラを身につけます。

アグリテックとは

農業の基礎を身につけるうえで近年注目を集めているのが「アグリテック(Agritech)」です。アグリテックとは、農業(Agriculture)とテクノロジー(Technology)を組み合わせた言葉で、従来の農業の方法にテクノロジーを取り入れ、企業と協力して学ぶことによって、次世代の力としての「農業の効率化」、「ノウハウの可視化と分析」、そして「農業従事者の働き方の改善」などを身につけます。
アグリテックを活用したファーム実習では、実際の食材作りから学ぶことで、料理の際に食材を最大限に活用する方法や、美味しい料理において食材の品質がいかに重要であるかを学ぶことができます。食材を基礎から学んで美味しい料理を生み出したり、高品質な食材を生み出したりすることにつながる、実践的な技術を学ぶ分野です。

高度専門士について

学校にもよりますが、4年制の専門学校を修了すると「高度専門士」という称号の取得が付与されます。可能です。高度専門士とは、修業年限が4年以上で、総授業時間数が3,400時間以上などの一定の要件を満たす専修学校の専門課程を修了した者に対して文部科学大臣が付与する称号です。この称号を取得することで将来の進路選択において幅広い選択肢を持つことができます。
高度専門士の取得者は、農業分野でのさらなる専門性を追求し、より高度な知識と技術を身につけることができるだけではなく、文部科学大臣が別に指定する専修学校を修了した場合には大学院進学の道も開かれます。

農業系の大学で学べること

農業系の大学は、専門学校と比較すると農業に関係する広範囲な学科やカリキュラムが揃っていることが一般的です。ここでは、農業系の大学においての学科やカリキュラム例などを紹介します。

専攻できる学科などの例

大学での学習は、農業だけに特化するのではなく、畜産や環境など広い範囲で知識を深められるところが特徴です。学ぶことができる学問などは学校によって異なりますが、下記のような例が挙げられます。

作物生産学

農作物の生産に必要な基礎的な知識を総合的に学びます。農耕の歴史や文化、作物の分類や利用法、生産状況、気象要因と作物生産の関係、光合成などについての講義を受けることが一般的です。水稲栽培を中心に、播種から収穫までの作業技術を学び、耕地生態系の物質循環や農薬・肥料の適切な使用方法や、生産と環境保全の知識も身につけます。

園芸学

園芸作物には野菜、果樹、花卉など様々な種類があり、これらの栽培に共通する特徴を学びます。園芸の定義と特徴、生産と消費の動向、種類と分類、栄養器官や生殖器官、花芽分化や花の性表現、果実の成長、植物ホルモンなどの基本知識を身につけます。

バイオナーサリー論

バイオナーサリーとは、バイオテクノロジー(biotechnology)と育種・苗床を意味するナーサリー(nursery)を合わせた言葉で、バイオテクノロジーを利用して苗の生産技術を向上させることです。苗づくりは園芸作物生産の重要なステップであり、バイオテクノロジー技術や生物工学技術が組み合わされることで日々進化しています。その技術について学ぶことで新しい苗生産技術の開発経緯や技術的基礎、そしてその応用の現状について知識を得ます。

畜産物利用論

畜産食品は私たちの豊かで健康的な生活に欠かせません。普段当たり前に食べている畜産食品が、原材料をどのように加工することで製品になっているか、どのような変化や加工を経て製品になっているかを学ぶ学科です。乳製品、肉製品、卵製品の生化学的・栄養化学的・製造学的な特性を中心に学びます。

環境科学概論

環境科学を体系的に学ぶことにより、環境を構成する要素や環境汚染、公害、環境保全、資源リサイクル、経済との関連、国内外の取り組み、そしてSDGs(持続可能な開発目標)などについて深く理解します。

仙台医健・スポーツ専門学校のアグリテックマネジメントコース

仙台医健・スポーツ専門学校では、農業テクノロジー科「アグリテックマネジメントコース」を設置しています。「農」「食」「健康」「テクノロジー」をとおして、食料・環境問題、地域創生、観光ビジネスにチャレンジし、社会を豊かにする人材を目指せるコースです。また、4年間の学びを通じて、高度専門士の卒業とともに称号も付与されます。取得もできます。このコースを履修して目指せる職業例は下記の通りです。

● 農作物生産者
● 農業ITコンサルタント
● 水耕栽培生産者
● スマート農業従事者
● 観光農園スタッフ
● 農場レストラン経営者
● 農業関連企業スタッフ
● 農体験プロデューサー

アグリテックマネジメントコースでは、IT・テクノロジーを活用した効率的な生産方法や食材の美味しい調理や加工技術、製品の流通や販売について学びます。食材の生産から調理、流通・販売までを一貫して担える人材を目指せるコース内容です。自分自身で食材の生産・調理・流通・販売を行えるスキルを身につけ、農業業界での成長を実現しましょう。

https://www.sendai-iken.ac.jp/culinary/course/smart_agriculture/

オーガニック&健康美コースでは、農業実習・調理加工実習や栄養についても学びつつ、オリジナル健康メニューの開発やハーブ&アロマに関わる商品開発など、農業はもちろんのこと、美や食についても学ぶことができます。農業✕食をかけあわせたものに興味がある方は、こちらのコースもおすすめです。アグリテックマネジメントコースとの違いは、年次によって変わってきますので、詳細を知りたい方はぜひ一度イベントに来てみてください。

https://www.sendai-iken.ac.jp/culinary/course/smart_agriculture/

興味を持っていただいた方は、ぜひオープンキャンパスにご参加ください。詳細な情報がわかる資料請求もお気軽にお申し込みくださいね。

https://www.sendai-iken.ac.jp/event/culinary_index.html

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