食分野

農家になるにはどうしたらいい?具体的な方法を徹底解説

「将来、農家として働きたい」と考えている方も多いでしょう。
今回は農家になるための方法について解説します。
また、農業の将来性や、農業に向いているタイプなども紹介。
将来農家として活躍したい方は、ぜひ参考にしてください。

農家になるための3つの方法


農家になるには、以下の3つの方法があります。

  • 独立新規就農する
  • 雇用就農して将来の独立を目指す
  • 継業する

それぞれの特徴について詳しく解説します。

独立新規就農する

農家になる1つ目の方法は、独立新規就農することです。新規就農とは、自分自身で農業という事業を始めること。いわゆる「起業」と同じです。

独立新規就農では、以下のことを自分でおこなう必要があります。

  • 就農候補地の選定
  • 農地探し
  • 作物の選定
  • 販路開拓
  • 作付計画
  • 資金計画
  • 住まいの確保
  • 先輩農家での研修(1~2年程度)

決定権が自分にあるため、自由に働けることがメリットです。
しかし、以下のようなデメリットもあります。

  • 莫大な初期投資がかかる
  • 労力がかかる
  • 地域との新たな関係作りが大変

このなかでも特に、莫大な初期投資は新規就農の大きなハードルとなっています。そのため、独立新規就農は、農家になる方法のなかで最も難しいのが現状です。

しかし、本当に自分のやりたい農業を実現できるのは、独立新規就農ならではです。自分のアイデアを反映しやすいため、自分のなかに明確なビジョンがある方にとってはピッタリの方法です。

現在は、国や自治体で独立新規就農をサポートする制度が整っています。独立新規就農を目指す場合は、自己資金に加え、そのような制度をうまく活用しましょう。

雇用就農して将来の独立を目指す

農家になる2つ目の方法は、まず農業法人や企業の農業生産部門に就職して、将来的に独立することです。先ほど独立新規就農する方法を紹介しましたが、「ハードルが高い」と感じた方も多いでしょう。

雇用就職であれば、安定した収入を得ながら、独立に向けて農業生産や経営のノウハウを学ぶことができます。また、「雇用就農資金」という支援制度もあります。これは就農者が栽培技術などの実践的なノウハウを学べるように、農業法人向けに研修費用を補助する制度です。

2022年8月現在、49歳以下・農業就業経験が5年以内であれば受講できます。「事業雇用就農資金」を受けられる農業法人は従業員のキャリアアップに積極的なので、就職する際の判断材料になります。

なお、「事業雇用就農資金」は、雇用就農者自身に助成金が出るわけではないので注意してください。
参考:農の雇用事業(農林水産省)

継業する

農家になる3つ目の方法は、既存の農家を継業することです。現在の日本で後継者不足が問題となっているため、後継者を求めている農家は多数存在します。

「とはいっても、農家の知り合いがいないから、どこの農家が後継者を探しているかわからない」と思っていませんか?

実は、全国の新規就農センターでは、「農業経営継承事業」という取り組みをおこなっています。後継者がいない農家と、新規就農を目指す人をマッチングするという取り組みです。

また、事業継承後の経営をサポートする目的で「経営継承・発展支援事業」という農林水産省の補助制度もあります。

さらに、最近では「継業」を専門的に取り扱うWebサイトも登場しています。参考にしてみるといいでしょう。

ただし、継業を目指す場合、経営譲渡してくれる農家との信頼関係が非常に重要です。自分の考えや理想を主張するのではなく、相手がこれまで培ってきた知識や技術、農業に対する想いに敬意を払うことが大切です。
参考:経営継承・発展等支援事(農林水産省)

農業を学校で学ぶ必要はある?


そもそも、農業を学校で学ぶ必要はあるのでしょうか?「現場で栽培・経営に関するノウハウを学んで独立したほうがいい」と思った方もいるでしょう。

もちろん早く現場に出るのもいいですが、将来農業での独立を目指すなら、学校で農業を学ぶことをおすすめします。その理由は、農業について幅広い視点で学べるからです。生産現場での学習では、栽培や経営に関するノウハウは身につきますが、農業を広い視点で学ぶことはできません。

農業といっても、その分野はさまざまです。生産や加工といった現場での知識だけではなく、社会情勢や歴史、化学など、知っておいたほうがいい知識はたくさんあります。将来的に経営の幅を広げるためにも、学校に通って、農業を体系的に勉強してみましょう。

なお、農業について学べる学校は、以下の3種類です。

  • 専門学校
  • 大学
  • 農業大学校

それぞれの特徴について、詳しく紹介します。

専門学校

専門学校は、農業を含む「食」について体系的に学べるのが特長です。また、農業だけでなく、調理師やパティシエなどを養成するコースが設置されている場合もあります。

そのため、生産・加工・流通と、食材の流れを学べる点が魅力。農家として独立を目指している方のなかには、「自分で作った農作物を加工して販売したい」と考えている方もいるでしょう。

そのような「6次産業」を考えている方は、専門学校を選ぶのがおすすめです。
ただし、学問として農業を学ぶわけではないので注意が必要です。農業を学術的に深く研究したい場合は、大学に進学するのがいいでしょう。

大学

大学の農学部では、農業や食について、学術的に学べるのが特長です。栽培や加工だけでなく、農業に関する生命科学や環境、地域経済など、栽培技術以外の知識や考え方を習得できます。ただし、大学の農学部では農学的な研究が中心となることに注意してください。

現場でのノウハウを学ぶというより、農業の知識を蓄える場所です。また、学力試験に合格する必要がありますし、国公立で年間70〜100万円、私立で150〜200万円程度の学費も必要になります。卒業後も一般企業に就職する学生が多いのも現状です。

しかし、非常に専門的な知識を習得できる点が魅力。実際に就農した人のなかには、大学で土壌化学や微生物学を学び、いったんは企業に就職し、その後就農して大学で学んだ知識を活かしているという人もいます。そのため、専門的な知識を身につけて、将来的な就農に役立てたいと考えている方におすすめです。

農業大学校

農業大学校は、実践的な農業に関する知識を学べるのが特長です。2年間で栽培技術や経営について学べるため、社会に出てすぐに農業をしたいという方におすすめです。2年間の履修期間のうち、半分程度を実践学習に費やすため、卒業すれば即戦力として活躍できるでしょう。学費も年間12万円程度で、基本的に書類選考と面接で合否を判断します。
一方で、大学のように学術的な研究はおこないません。また、座学を教えるのも基本的には自治体の職員であるため、「農学を深く学びたい」という方は大学に進学した方がいいでしょう。「農業生産の現場での実践力を身につけて、社会に出たら農業を仕事にしたい」と考えている方におすすめです。

日本の新規就農者数の推移


それでは、現在の日本で新たに農業に参入する人はどれくらいいるのでしょうか?
以下の3つの数値を紹介します。

  • 新規自営農業就農者
  • 新規雇用就農者
  • 新規参入者

新規自営農業就農者数

新規自営農業就農者数の推移
全体(人) 49歳以下(人)
平成23年 47,100 10,460
24 44,980 10,540
25 40,370 10,090
26 46,340 13,240
27 51,020 12,530
28 46,040 11,410
29 41,520 10,090
30 42,750 9,870
令和元年 42,740 9,180
2 40,100 8,440

農林水産省によると、令和2年の新規自営農業就農者数は40,100人(前年比6.2%減)で、このうち49歳以下は8,440人(前年比8.1%減)でした。新規自営農業就農者数は、ここ10年で見ると平成27年の51,020人をピークに減少しており、近年は40,000~42,000人程度で推移しています。

新規雇用就農者数

新規雇用就農者数の推移
全体(人) 49歳以下(人)
平成23年 8,920 6,960
24 8,490 6,570
25 7,540 5,800
26 7,650 5,960
27 10,430 7,980
28 10,680 8,170
29 10,520 7,960
30 9,820 7,060
令和元年 9,940 7,090
2 10,050 7,360

令和2年の新規雇用就農者数は10,050人(前年比1.1%増)で、このうち49歳以下は7,360人(前年比3.8%増)でした。新規雇用就農者数は、平成23年から平成28年にかけて増加しており、ここ5年は10,000人前後で推移しています。

新規参入者数

新規参入者数の推移
全体(人) 49歳以下(人)
平成26年 3,660 2,650
27 3,570 2,520
28 3,440 2,470
29 3,640 2,710
30 3,240 2,360
令和元年 3,200 2,270
2 3,580 2,580

新規参入者とは、新規で農業経営を開始した経営の責任者のことです。令和2年の新規参入者数は3,580人(前年比11.9%増)で、このうち49歳以下は2,580人(前年比13.7%増)でした。部門別では露地野菜が1,110人と最も多く、施設野菜700人、果樹660人と続きます。平成26年以降、新規参入者数は3,200〜3,600人と、安定して推移しています。これは、経営という視点で農業に関わりを持つ人が増えていることを示しています。

※新規参入者には、平成26年から「経営の責任者」に加え、新たに「共同経営者」も含まれるようになりました。そのため、表も平成26年以降のデータを記載しています。
参考:令和2年新規就農者調査結果(農林水産省)

農家の将来性


ここまで農家になる方法や日本の農業の現状を紹介してきました。しかし、日本の農業は将来どうなるのでしょうか?ご存じの方も多いと思いますが、現在、日本の農業は高齢化が進んでいます。また、新規就農者数も減少傾向が続いており、2015年に208万人だった農業就業者数は、2030年には131万人まで減少することが予測されています。

出典:農業構造の展望(農林水産省)

一方で明るい話題もあります。まずはスマート農業の普及です。スマート農業とは、AIやICTなどの先端技術を取り入れた農業のことです。データやロボット技術を活用することで人の負担を減らし、効率的な農業生産を可能にします。現在多くの企業がスマート農業機器の開発に挑んでおり、この流れは今後もさらに活発になると考えられています。また、農地の集約化も進行中。日本の農業は、農地が分散しているため、作業効率が悪いのが課題でした。しかし近年では農業法人をはじめとする大規模経営体に農地が集まり、効率化が進んでいます。さらに、全国各地で農産物のブランド化や6次産業化が進んでおり、農業生産以外にもビジネスを拡大する動きも出ています。

このように、日本の農業は課題を抱えつつも、将来に対する明るい話題を持っています。農家を目指しているみなさんは、スマート農業や高付加価値化などを学び、それを実践できるかがポイントとなるでしょう。

農家のやりがい


どのような仕事でも、やりがいや達成感は重要ですよね。
農業にもさまざまなやりがいがありますが、代表的なものでは以下の2つが挙げられます。

  • 無事に収穫できたとき
  • 「おいしい」と言って食べてもらえたとき

無事に収穫できたとき

農家にとって収穫は一大イベントです。大切に育てた農作物が無事に収穫できたときの喜びは、何物にも代えがたいものがあります。それまでの苦労が報われた達成感を得られるでしょう。

「おいしい」と言って食べてもらえたとき

自分が愛情込めて作った農作物を「おいしい」と言って食べてもらえるのは、非常に嬉しいことです。「おいしい」という一言で、「次もがんばろう」「もっといいものを作ろう」という気持ちになれます。特に、消費者の顔がイメージできるようになると「〇〇さんを喜ばせたい」と、大きなモチベーションになるでしょう。

農家に向いている人


農家になりたくても、自分が農家に向いているかどうかは気になりますよね。
一般的に、農家に向いているのは次のような人です。

  • 体を動かすのが好き
  • 植物や動物、虫が好き
  • 細かい変化に気付くことができる
  • 考えることが好き
  • 人とコミュニケーションをとるのが好き

体を動かすのが好き

畑や田んぼは、舗装された道のように歩きやすいわけではありません。そのため、農業は体を動かすのが好きな人に向いています。「体力に自信がない」という方でも、やっているうちに慣れてくるでしょう。また、最近ではスマート農業の推進などによってさまざまな機器が開発されているため、作業負荷も軽減していますよ。

植物や動物、虫が好き

農業では野菜や果物といった植物、牛や豚といった動物を育てます。また、益虫・害虫を相手にすることもしばしば。そのため、植物や動物、虫が好きという方にも向いています。

細かい変化に気付くことができる

農業では、細かい変化に気付くことができるかという点も重要です。植物は栄養や水分が足りない場合、何かしら変化を起こします。また、葉や茎が微妙に変色すると、それは病気のサインということも。毎日観察して、小さな変化に気付ける観察力が必要です。

考えることが好き

農業は、すぐに思ったとおりになるわけではありません。土づくりや品質などは、日々の試行錯誤の結果です。そのため、自分で考えて実践し、その結果を受けて改善する、という過程を楽しめる人に向いています。

人とコミュニケーションをとるのが好き

実は、農家にはコミュニケーション能力が非常に重要です。人を雇う場合、当然従業員とのコミュニケーションが必要です。また、販路拡大の際も交渉が必要なので、コミュニケーションが求められます。農山村で農業する場合は、地域との付き合いも必要です。

仙台医健・スポーツ専門学校のサポート体制


仙台医健・スポーツ専門学校では、農家を目指す方のために、以下の2つのサポートを用意しています。

  • 就職サポート
  • 新規就農サポート

それぞれについて紹介します。

就職サポート

本校では、キャリアセンタースタッフと担任が協力して、就職活動全般をサポートしています。1人ひとりに個別面談をおこない、希望に応じた就職先を紹介するなど、きめ細かいサポートが特長です。また、就職対策講座やインターンシップなどのサポートも実施しています。農業法人や企業の農業部門への就職を検討される場合は、ぜひご利用ください。

新規就農サポート

卒業後、自分で農業を始めたいという方向けの新規就農サポートにも取り組んでいます。全国にある農地とつながりを持つ株式会社マイファームと連携し、希望地域での新規就農をサポート。また、全国の地方自治体から担当者を招いて、学生向けの就農説明会も実施しています。さらに、販路開拓や経営計画の相談窓口も設置しています。農家として独立を目指している方は、ぜひご利用ください。

農家を目指すなら仙台医健・スポーツ専門学校へ


将来農家として独立を目指している方にとって、進路選びは重要です。農業大学校で実践力を身に付けるか、大学で専門知識を身に付けるか、悩んでいる方も多いでしょう。仙台医健・スポーツ専門学校では、農業を含む「食」全般について、深い知識と実践力を身に付けることができます。農業生産に関する知識だけでなく、加工や流通についても学べます。また、実習を通して、確かな経験を積むことができるのも特長です。「食」に関する幅広い知識を持って農家になりたい方は、ぜひオープンキャンパスやオンライン説明会にご参加ください。

食分野に興味のある方へ

オープンキャンパスに参加しよう!

オープンキャンパスに参加しよう!

仙台医健・スポーツ専門学校のこと、業界のことが1日で分かるオープンキャンパス!楽しい学びがある学校の雰囲気を感じてみてください。