食分野

【高校生必見】農学とは?研究内容や学習後の進路を詳しく解説

「将来農業や食に関連する仕事に就きたい」という夢や目標のある方は、大学や専門学校に進学して、農学を学ぼうと考えているでしょう。

しかし、一口に「農学」といっても、さまざまな分野が存在するのはご存じでしょうか?

実は、農業以外にも、林業や水産業も農学の研究対象に含まれます。
さらに、農学のなかには理系的な分野だけでなく、文系的な分野も存在するのです。

今回は、農学の研究内容や学習後の進路について解説します。

農学系への進学を考えている方や、将来的に農業・食関連の仕事に就きたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

農学とは

農学とは、私たちの暮らしに必要不可欠な農林水産業と、それに関わる植物や生物、さらには地球全体の自然環境について研究する学問です。「耕作や畜産などの農業生産について研究する学問」とイメージしている方が多いかもしれません。

しかし、農学の研究対象は多岐にわたり、林業や水産業、さらには加工や流通まで、幅広い分野が研究対象に含まれます。

私たちの暮らしは、地球上に存在するさまざまな生命や豊かな自然環境の恩恵を受けて成り立っています。

しかし、こうした生命や自然環境は無限にあるものではありません。無計画に消費し続けていれば、いつかは枯渇し、2度と同じものが生まれることはないでしょう。

農学が目指すのは、こうした生命や自然環境による恩恵を、将来にわたって持続可能にすることです。

そのためには、単に生産技術だけを磨けばよいというわけではありません。加工、流通、販売、環境、経済、未来を担う人材育成など、さまざまな領域について研究し、最善の方法を見つけ出す必要があります。

つまり、農学は私たちの生活を支えるだけでなく、流通や経済といった社会的な活動や、環境保全にも貢献できる学問なのです。

私たちの社会をより豊かで持続可能なものにするためにも、欠かすことのできない研究分野といえます。

農学の主な分野と内容

私たちの生活や社会活動について、あらゆる角度から研究する農学。
その分野は多く、以下のように分類されます。

  • 農学分野
  • 農芸化学分野
  • 農業工学分野
  • 農業経済学分野
  • 林学・林産学分野
  • 獣医学・畜産学分野
  • 水産学分野
  • その他

それぞれについて、詳しく解説します。

農学分野

農学分野は、農業の技術を総合的に研究する分野です。
主なテーマは「品質向上」と「生産性の向上」です。

「品質向上」では、主に品種改良を通して、成長が早い・収穫量が多い・好ましくない環境や病気に強いといった、優れた品種の開発を目指します。

一方の「生産性の向上」では、土や水といった農地環境の改善、栽培方法の改良、肥料や農薬について研究します。

他にも、自然環境や造園、緑化について研究するのもこの分野です。

農芸化学分野

農芸化学分野は、農業の技術的な課題を化学的に解決することを目指す分野です。
主に以下の3つの領域があります。

  • 農業生産に関する領域:土壌、農薬、肥料などについて研究する。土壌改良によって生産効率を高める方法や、人や環境に優しい農薬の開発などが主なテーマ。
  • 農産物の貯蔵と加工に関する領域:腐敗や劣化の仕組みを検証し、保存技術や調理方法などを研究する。
  • 食品生産に関する領域:発酵食品や乳製品などの加工食品について研究する。

また、農業や食品以外に、微生物や酵素のはたらきについて研究するのも農芸化学分野の特徴です。微生物や酵素の機能を利用した資源循環や医薬品の開発といったテーマがあります。

農業工学分野

農業工学分野は、農業の技術的な課題を工学的に解決することを目指す分野です。
主に「農業土木」と「農業機械」という2つの領域があります。

農業土木では、農業生産の基盤となる農地や用水路などについて、土木工学の観点から研究します。開墾や干拓によって農業に適した環境を造るための土木技術や、農業用水路によって水資源を持続的に利用する水利技術などが主な研究テーマです。

一方の農業機械では、機械工学の観点から、農業機械やロボット、自動化技術などについて研究します。

また、最近では農村や里山の保全について研究する領域もあります。

昨今、日本の農村は、過疎・高齢化によって大きく姿を変えてしまっているのが現実です。一方で、従来の日本の農村を「環境と人間が共存する社会」として見直す動きもあります。

このような農村環境や農村社会のあり方を研究し、持続可能な農村を模索することも農業工学分野の重要なテーマです。

農業経済学分野

農業経済学分野は、経済学的な観点から農業を研究する分野です。

「食糧の安定供給」が大きなテーマで、農産物を供給するための流通・販売ルート(市場経済システム)や、食糧自給率の維持・向上などについて研究します。

また、最近では自然環境に配慮した食糧供給も大きなテーマとなっています。

あえて選ぶならば文系寄りといえる分野で、経済学や経営学、社会学の研究手法を学ぶのが特徴。具体的には、統計学や数学などを用いてデータの収集や整理、分析などをおこない、農産物の流通や消費者ニーズを研究します。

林学・林産学分野

林学・林産学分野は、木材などの森林資源の利用や森林環境の保全について研究する分野です。

森林資源の利用については、植林から伐採、加工、流通など、林業に関する領域が主な研究範囲となります。

一方の森林環境の保全に関しては、森林の適切な管理をはじめ、景観づくりや森林によって守られる水資源の管理と有効利用、土砂崩れや山火事などの山林災害の防止について研究します。

獣医学・畜産学分野

獣医学・畜産学分野は、動物を扱うための実践的な技法を研究する分野です。
具体的には、それぞれの分野で以下の内容を研究します。

  • 獣医学:動物の病気の原因と予防法の解明、病気や怪我の治療方法を研究する。飼育動物だけでなく、野生動物も研究対象に含まれる。
  • 畜産学:家畜を中心とする飼育動物の開発と利用をはじめ、畜産業の技術(飼育や繁殖、加工など)を研究する。養蜂や蚕など、人間に有益な昆虫も研究対象に含まれる。

獣医師になるには、この分野で獣医学について学ぶ必要があります。また、動物園の企画・運営やペット用品について研究する領域もあるため、動物園の飼育員やペット業界などを目指す方にもおすすめの分野です。

水産学分野

水産学分野は、魚介類や海藻などの水産物、海洋環境などについて研究する分野です。
主に以下の4つの研究領域があります。

  • 水産資源学:漁業に関する技術について研究する。漁獲方法や水産資源の調査・管理、海上気象などが主なテーマ。
  • 海洋環境学:海の環境について研究する。動植物の生態調査や海水の水質・成分分析が主なテーマ。
  • 水産増養殖学:養殖について研究する。魚類の繁殖や品種改良、海藻の栽培などが主なテーマ。
  • 水産化学:水産物の加工や保存技術について研究する。水産物の成分分析や、食品以外の利用法の開発などが主なテーマ。

なお、水産学分野には、海だけでなく河川や湖沼といった淡水域も研究領域に含まれます。そのため、淡水の生き物や河川の環境も研究テーマになります。

その他

その他には、栄養学も農学に分類されています。

栄養学では、既存の食品に関する研究はもちろん、食品に利用したことない生物を化学的に分析して栄養素や機能を評価し、新たな食品としての可能性を探ります。

健康志向が高まり、食品の役割が注目されている現代において、重要な役割を果たしています。

出典:学科系統分類表 1大学(学部)農学(文部科学省)

農学を学んだあとの進路・就職先


それでは、農学を学んだあとは、どのような進路があるのでしょうか?
農学を学んだあとの主な進路・就職先は以下のとおりです。

  • 公務員
  • 農協(農業協同組合)
  • 食品業界
  • 建築・土木業界
  • 種苗メーカー
  • 農薬・肥料メーカー
  • 自営農家
  • 大規模農家・農業法人
  • 獣医師
  • 飼育員

それぞれについて、詳しく解説します。

公務員

文系のイメージがある公務員にも、農学の知識を活かせる職種が存在します。

たとえば、国家公務員であれば、農林水産省や環境庁、林野庁、水産庁といった省庁で活躍できます。

また、地方で活躍することを視野に入れる場合、以下の職種も選択肢としてあげられます。

  • 農業試験場・畜産試験場・水産試験場の研究員:農業や畜産、水産の技術に関する試験・研究をおこなう
  • 農業改良普及員:農業者に農業技術や経営の指導、栽培・販売方法の提案などをおこなう
  • 農業学校の教師:教員免許を取得し、農業学校で生徒を指導する

農協(農業協同組合)

農業者の協同組合である農協では、組合員を対象に以下のような業務を担っています。

  • 技術開発や技術指導
  • 農産物や畜産物の加工販売
  • 畜産市場の運営
  • 資材や農機具の販売
  • 経営相談
  • 共済・金融事業

いずれの業務も、地域の農業者とコミュニケーションをとりながら仕事を進めます。
そのため、「地域に貢献したい」と考えている方におすすめです。

食品業界

農学を学んで食品業界に就職する場合、研究職や製造技術職、品質管理職など、さまざまな部署で活躍できます。

食品業界は生活に欠かせない分野であるため、安定性と将来性が見込まれるのが大きな特長です。

ただし、その分就職倍率も高いので、覚悟して臨みましょう。なかでも研究職は高倍率になる傾向があるため、しっかりと知識を蓄え、準備することが重要です。

建築・土木業界

農業工学分野を学んだ場合、建築・土木業界も選択肢に入ります。主な就職先は土木系のゼネコンや建設コンサルティング会社です。

ゼネコンのなかでも、大手ゼネコンは倍率が高くなる傾向があります。また、建設コンサルティング会社に技術職で就職する場合は、専門知識に加えて技術が必要です。

どちらに進むにしても「測量士補」や「造園施工管理技士」などの資格を取得しておくのがおすすめです。

学校のカリキュラムに沿って学んでいれば資格を習得できる場合もあるので、進路選択の際にチェックしてみてください。

種苗メーカー

種苗メーカーとは、野菜や花の種子について研究し、販売するメーカーのことです。農学を学んだ人のなかでは人気の就職先の1つで、競争が激しくなることも多いでしょう。

なかでも研究職を目指す場合は、バイオテクノロジーを専門にしている大学院を修了し、高い専門知識を必要とします。

農薬・肥料メーカー

農芸化学分野を学んでいる場合、農薬・肥料メーカーも選択肢の1つです。

研究職はもちろん、専門知識を活かした営業職としても活躍できます。よい商品を広げることができれば、業界全体の活性化に貢献できます。

自営農家

農学の知識を活かして、自ら農業生産をおこなうのもよいでしょう。主に「実家の農業を継承する」「新規就農する」といった2つの選択肢があります。

設備や販売先がある分、継業の方がスムーズに始められるでしょう。

一方で、最近は農業者確保のため、新規就農者への支援も手厚くなっています。インターネットやSNSなどでも数多くの事例が紹介されているので、興味がある方はぜひ調べてみてください。

なお、以下の記事では、農家になるための方法について解説しています。ぜひ参考にしてください。
農家になるにはどうしたらいい?具体的な方法を徹底解説

大規模農家・農業法人

「農業生産に関わりたい」という方は、自営農家になる以外にも、大規模農家や農業法人に就職するという選択肢もあります。

農作業や生産管理だけでなく、お客さま対応や取引先への営業など、さまざまな業務をおこないます。

最近では大規模農家や農業法人が集まる就職説明会も開催されているので、より身近な進路となりました。

獣医師

獣医学を学べば、獣医師として活躍できます。
動物病院への勤務だけでなく、動物園や水族館、牧場なども獣医師を必要としています。

また、食肉や乳牛を取り扱う食品会社で品質管理に携わる、製薬会社の実験施設で動物の健康管理をおこなうといった関わり方も可能です。

飼育員

動物の生態を学んでいる場合は、動物の飼育員も進路の1つです。
動物園や水族館での動物の世話に加え、園内ガイドや動物ショーなどが主な業務です。

また、ペットショップや乗馬スクールなどでも活躍できます。

動物に合わせて仕事をするため、休日や退勤時間を調整しにくい点がデメリットとなるものの、動物好きには人気の職種です。

なかには学芸員の資格が必要な場合もあるので、資格が取りやすい学校に進んでおくのがよいでしょう。

農学を学ぶのに向いている人

ここまで農学の研究分野や農学を学んだあとの進路について紹介しましたが、実際にどのような人が農学を学ぶのに向いているのでしょうか?

農学を学ぶのに向いている人は以下のとおりです。

  • 衣食住に関心がある人
  • 生き物や自然が好きな人

それぞれについて、詳しく解説します。

衣食住に関心がある人

衣食住に関心がある人は、農学を学ぶのに向いています。農学では、食べ物はもちろん、着るものや住む場所の材料などが生産され、私たちの手元に届くまでの仕組みを学びます。

また、より専門的になると

  • より効率的に生産する方法
  • 環境に配慮して生産する方法
  • 新しい製品を生み出す方法

など、さまざまな視点から学び、研究します。

これらは全て私たちの生活に密接に関わっています。

そのため、衣食住に関心があり、人々の暮らしをよりよくしたいと思っている方にとっては、農学は非常にやりがいのある学問だといえます。

生き物や自然が好きな人

生き物や自然が好きな人も、農学を学ぶのに向いています。

農学の研究対象は生き物や自然環境です。そのため、研究の一環として生き物を世話したり、植物を栽培したりする必要があります。

実際に、野菜を研究する場合はほぼ毎日野菜の生産管理をおこない、生き物について研究する場合は、毎日のように生き物の世話をします。

そのため、農学は生き物や自然が好きな人にはぴったりの学問といえるでしょう。

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農学には農業生産だけでなく、林業や水産業、環境保全など、幅広い分野が研究対象に含まれます。化学や工学、経済学など、テーマに対するアプローチも分野によってさまざまです。

また、将来の選択肢も多く、学んだ内容を活かして、より豊かで持続的な社会の実現に貢献できる学問といえます。

とはいえ、農学を学べる選択肢は数多くあります。もし「農学に関する知識と経験を身につけたい」と考えているなら、仙台医健・スポーツ専門学校(食・農業分野)はいかがでしょうか?

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