医療分野

視能訓練士を目指すなら知っておきたい目に関する豆知識

視能訓練士を目指す

視能訓練士は近視・遠視・乱視などの検査や眼鏡・コンタクトレンズの使用に関する検査を行い、一人一人に合わせた視力の矯正や子どもの弱視・斜視の視能矯正といった目の視力に関するリハビリを実施する職業です。
本記事では視能訓練士を目指すなら知っておきたい、目に関するさまざまな豆知識についてご紹介していきます。

屈折異常(近視・遠視・乱視)について

そもそも、人が遠くにあるもの~近くにあるものまできちんとピントが合って見えるのは、「調節」と呼ばれる眼の中にあるレンズが膨らんでピントを合わせているからです。
この調節を全く行わず、リラックスした状態でピントが合っていることを「正規」と言います。
一方、この状態でピントが合わないことを「屈折異常」と言い、代表的なものとしては「近視」「遠視」「乱視」が挙げられます。

近視とは

その中でも「近視」は遠くにあるものが見えにくくなっている状態のことを言います。
「遠くの看板に書かれている文字が読めない」「遠くに居る人の顔がぼやけてしまって誰か判別できない」といった現象が起きます。

網膜よりも比較的手前の位置で焦点を結ぶので近くのものにはピントが合うのですが、遠くにあるものはぼやけてしまうのです。
近視になる原因としては、角膜~網膜までの眼の長さが通常より長すぎてしまうか、目の屈折力が強くなりすぎてしまうということが考えられています。

遠視とは

「遠視」はものの距離は関係なく、ピント調節が必要になるため疲労を感じてしまいやすいことが特徴となっています。
ただピント調節機能に異常が生じているわけではないため、「ものの見え方」だけでは気づきにくいという問題があります。
ピント調節をしていない状態では網膜の後ろの位置で焦点を結んでいるため、無調節の状態では近くにも遠くにもピントが合っていないのです。
遠視が軽度であれば、この調節力を働かせてピントを合わせることができるのですが、その分、目の疲労は蓄積されてしまいます。
遠視が重度であったり遠視の度数に左右差があったりする場合、そのまま放置すると「弱視」になってしまうことがあります。
とくに子どもであれば、早めに対処することで治すことができるため、3歳児の健診時には「視力検査」が行われるようになったのです。

乱視とは

「乱視」は目のピントが1箇所に集まらない状態のことを言います。
ものの輪郭がぼやけたり、ブレて見えたり、ものが2重になって見えたりすることが特徴で、重度の場合は日常生活に支障をきたすことも。
乱視は元々の角膜・水晶体の形状が原因でなる場合と、目のケガ・病気が原因でなる場合があります。

このように、ものの見え方にはいろいろな種類があるので、まずは眼科に行って現在の目の状態を調べてもらうことが何より大切です。
視力が低下した状態で放置し続けてしまうと、視力がさらに下がってしまう可能性もあります。
また、そのままでは頭痛・肩こり・疲れ目といった症状に発展してしまうこともあるため、早め早めの受診をおすすめします。

眼鏡かコンタクトレンズか

視力を矯正させる方法としては、眼鏡とコンタクトレンズの2つが挙げられます。
それぞれ長所・短所が異なるため、その特徴や着用する方の好み・生活する中での必要性の高さによってどちらが良いか選択するようにしましょう。

眼鏡のメリット

眼鏡の場合、特別なケアが必要ありません。
専用の眼鏡拭きを使ってガラス表面の汚れを軽く拭き取ればケアが完了します。
コンタクトレンズは適切な装用時間を超えて使用し続けると目への負担が大きくなってしまい、目の病気になってしまうリスクが高まります。
しかし、眼鏡は装着時間の制限はありません。
夜更かしをよくするという方には向いていると言えるでしょう。

コンタクトレンズのメリット

「眼鏡をファッションの一部として取り入れたい」という場合は別ですが、「なるべく見た目の印象を変えたくない…」という場合にはコンタクトレンズがおすすめです。
眼鏡をかけると顔に限らず、全身の雰囲気も変わってきます。
加えて眼鏡は落としたり、ものに当たったりすることで壊れてしまう恐れがあるのですが、コンタクトレンズは基本的に直接入れているので、激しい運動を行っても外れにくいという特徴があります。
眼鏡フレームで視界が狭まる・動くと眼鏡がずれてしまう・マスクをしても眼鏡のレンズが曇るということも無いため、趣味で運動をしているという方には適していると言えるのではないでしょうか?

屈折矯正手術とは

屈折矯正手術とは

上記で述べた通り、「近視」「遠視」「乱視」などの「屈折異常」の症状を矯正する方法として代表的なのは、眼鏡やコンタクトレンズです。
しかし近年、眼科医療技術の発達によって眼鏡・コンタクトレンズといった矯正方法だけでなく、「屈折矯正手術」という日帰りでの手術が可能になりました。
屈折矯正手術として代表的なのは、「レーシック(LASIK)」「ICL(眼内コンタクトレンズ)」といったものです。

レーシック(LASIK)

レーシック(LASIK)とは角膜にレーザー照射をし、角膜を削ってカーブを変えることで屈折異常を矯正するという手術方法です。
裸眼でのものの見え方を改善するための手術として、最もポピュラーな方法だとされています。
基本的には日帰り手術が可能であり、早い場合には手術後即日で視力の回復が期待できます。
ほとんどの方が翌日には裸眼で日常生活を送ることが可能となるでしょう。

ICL(眼内コンタクトレンズ)

ICL(眼内コンタクトレンズ)とは、専用のコンタクトレンズを眼の中に挿入することによって屈折異常を矯正するという手術方法です。
小さい穴を少し開け、そこにレンズを挿入するため、目を傷つけてしまう心配もありません。
安全性が高く、長期的な裸眼視力の安定が期待できます。
万が一「挿入したが見え方に違和感がある」「上手く見えない」という場合でも、すぐに摘出して元に戻すことができるという点も安心ポイントです。
近年、国内での需要が高まってきている手術だと言えます。
手術当日は視界がぼんやりとしますが、翌日になると大半の方は視界がクリアになり、裸眼での日常生活を送ることができますよ。

斜視と弱視

左右の眼の位置がずれてしまうと、「両眼で正確にものを見る」ということが難しくなってしまいます。

斜視とは

通常、ものを見る時、両方の目が「見ようとするものの方向」に向いています。
しかし、片方の目が見ようとするものの方向に向いていても、もう片方の目が別の方向に向いてしまうことがあり、このことを「斜視」と言います。

弱視とは

眼鏡・コンタクトレンズで矯正をしても、視力が十分に出ない状態のことを「弱視」と言います。
初めは裸眼視力が0.1でも、眼鏡・コンタクトレンズで矯正を行って1.0の視力が出た場合には弱視であるとは言えません。

3歳児健診について

3歳児健診とは、満3歳~満4歳になる手前の子どもを対象とした各市町村で実施される健康診断のことを指します。
個人差はありますが、3歳になると自分の名前や年齢が言えるようになったり、食事・着替え・トイレなどを自分一人で行えるようになったり、走る・ジャンプするなどの運動機能が発達してくるのです。
1歳6ヶ月の頃にも健診があるのですが、3歳児健診ではこの1歳半の頃には見られなかった心・体の発達速度や視力・聴力の状態などの異常を発見できる可能性があるのです。
集団健診として行われることが大半ですが、地域によっては内科や小児科などの個別で実施される地域もあります。

老眼について

老眼について

老眼にはどのような特徴があるのか、また混同されやすい症状についてもご紹介します。

老眼とは

老眼とは、目のピントを調節する力が衰えてしまうことにより、遠くにあるものがよく見える状態の時に近くにあるものが見えづらくなってしまう状態のことを言います。
こちらは年齢を重ねることで誰にでも起こりうるものです。
老眼になることで、近くにある細かな文字が見えにくくなってしまいます。
とくにこういった症状は、薄暗い場所に居る場合に起きやすくなります。
また、遠くから近く・近くから遠くに視野を移した時、ピントを合わせるのに時間がかかってしまうようになります。
老眼による見えづらさを我慢したままでいると、ひどい場合には目が疲れてしまって痛みを感じてしまうことがあります。
肩凝り・頭痛・吐き気といった症状につながってしまうこともあります。

近視の人は老眼にならないって本当?

近視の人であっても、目の機能は老化していくものです。
ただ近視の人は、近くのもののピントが合いやすいという特徴があります。
眼鏡を外した状態でも近くのものがよく見えるため、自分が老眼であることに気がつきにくいと言われています。
老眼鏡を必要とする年齢も遅くなる傾向にあります。

遠視と老眼の違い

遠視と老眼は混同されることがあるのですが、この2つは別物です。
遠視は遠いところを見る時に起こる「屈折異常」なのですが、老眼は加齢と共に現れる「調節異常」なのです。

網膜の後ろの方でピントが合っている状態が遠視の屈折異常です。
遠くを見る時は調節力が十分あるため見えるのですが、近くを見る時には調節力が足りなくなるため、はっきりと見ることができません。
老眼は加齢によって起きる調節機能の低下であるため、ピントの調節範囲が狭くなり、近くを見る時のピント調節が難しくなってしまうのです。
無理をして見ていると目の疲れはもちろん身体の疲れにもつながるため、注意しなければなりません。

色覚異常について

色覚異常とは、色の認識・色の違いの識別などが正常の人とは異なる見え方・感じ方をしてしまう状態を指します。
具体的には「色の区別がつきにくい」「違う色が同じ色に見える」などが挙げられ、場合によっては日常生活に支障をきたしてしまうこともあります。
ものを正確に見るには「視野・視力・色覚」の3機能が必要になりますが、色覚異常はこの3機能の中でも「色覚」に異常がある状態なのです。
色覚異常には、「先天色覚異常」「後天色覚異常」の2つがあります。
色覚異常の原因としては、遺伝的なものが大きな原因として挙げられます。
生まれつき異常があるものを「先天色覚異常」、ほかの病気が関係していてその一つの症状として現れるのが「後天色覚異常」です。
「先天色覚異常」は日本人の男性では20人に1人、女性では500人に1人がもっています。
「後天色覚異常」も、決して稀な症状というわけではありません。
実際、日本でも高齢者の多くが加齢によって、色覚異常を持っていると言われています。
とくに先天色覚異常は自覚しにくいという場合がほとんどであるため、まずは検査を受けて色覚異常であるかを把握し、正しく理解しなければなりません。
なるべく早期に発見し、その状態にあった生活上での対処を正しく行うことで、その後も安心・安全に生活を送ることができます。

おわりに

本記事では視能訓練士を目指すなら知っておきたい、目に関するさまざまな豆知識についてご紹介しました。
視能訓練士はさまざまな視能を検査し、視機能に障がいを抱える人に向けて視能回復訓練を行いながら、正常な視能へと導いていきます。
幅広い世代の方の目の健康を守るために欠かすことができない職業なのです。

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